6月議会の審議に注目
現在、石垣市議会では、今年2月1日に議会がその請求を否決した市民による住民投票請求と同じ請求が議員提案で出され審議がされている。これからはじまる6月議会で審議がなされる予定だが、このままでは前回と同様に住民投票請求は否決される見込みだ。
しかし上述のとおり、昨年12月20日に市民が行った自治基本条例28条1項に定める4分の1を超える1万4000筆余という数の署名を集めた住民投票請求は、議会の意見にかかわらず、市長が住民投票を実施しなければならないものだ。
石垣市議は、「自治基本条例28条」の趣旨を理解し、市長が住民投票を違法に実施していない現状を踏まえ、市長の責任を追求し、実施を求め、市長がこれに応じないというなら自治基本条例3条も定める「住民が主体的に市制に参加するという住民自治」、「国及び県と対等な立場で自治体としての自立を確保するという団体自治」という地方自治の基本理念を守るため、議員提案の住民投票請求を採択すべきである。市長の不作為により民主主義と地方自治の理念が奪われている違法状態を議会が放置することは許されないからだ。
なお、4分の1を超える1万4000筆余という数の署名を集めた住民投票請求は議会が2月1日に否決したが、市長は、自治基本条例の要件を満たした請求である以上、議会が出した意見に関係なく住民投票を実施すべき義務が依然としてあることは当然である。
これは、石垣島だけの問題ではないし、安全保障における右左のイデオロギーの問題でもない。自分たちの未来は自分たちで決めるという民主主義の根幹である投票権自体が違法に奪われようとしている問題だ。
フェミニズムの祖メアリー・ウルストン・クラフトは「一部の人の自由だけが重要であり、その他の人々を排除する形で人間の自由を擁護するような議論は支持できない」と述べた。人種隔離政策と闘ったネルソン・マンデラは「自由になることとは、単に束縛から解放されることではなく、他人の自由を尊重かつ促進しながら生きるようになることだ」と主張した。個人の尊重と幸福追求権、尊厳と自己決定権、法規範の上に築かれた自由は、普遍的であり広がりを持つ。
石垣市議会や市長の動きを注視し、石垣への自衛隊配備に賛成であれ反対であれ、民主主義の根幹を守るため、多くの人が声を上げてほしい。