沖縄戦の遺⾻眠る⼟まで頼る辺野古沖埋め⽴て

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⽶軍基地の造成に、かつての⽶国との激戦地であり、今も⽇本の⺠間⼈や兵⼠の⾻が残る⼟が使われかねない。⽭盾に満ちた動きを⽇本政府がさらす現場は、またも沖縄だ。


菅義偉内閣の欺瞞を⼤きく三つ指摘する。

沖縄の⼆筋の苦難絡める

⽶軍基地の造成とは、⽇本政府が沖縄県の本島中部にある⽶軍普天間⾶⾏場( 宜野湾市)は危険だとして、北部に移そうと進めている辺野古沖(名護市) での滑⾛路建設のことだ。県は、沖縄に集中する在⽇⽶軍基地を、県内でたらい回しにするものだとして反対している。

かつての⽶国との激戦地とは、太平洋戦争末期に⽇本で住⺠を巻き込んだ唯⼀の地上戦があった沖縄本島、とりわけ⽇本兵と住⺠が追い込まれた南部( ⽷満市など)のことだ。沖縄戦では、県によると2 0 万⼈以上が亡くなり、うち県⺠は9万4 千⼈、⽇本軍関係者は9 万4 千⼈( 県外出⾝6 万6 千⼈)、⽶軍関係者は1 万2千⼈とみられる。

沖縄をめぐるこの⼆筋の苦難を昨年4 ⽉、⽇本政府はわざわざ絡めてしまった。普天間移設⼯事で辺野古沖の海底に軟弱地盤が⾒つかったとして、地元⾃治体として埋め⽴ての可否を判断する沖縄県に対し、設計変更の承認申請書を提出した。当時の安倍内閣で辺野古沖への移設を推し進めた官房⻑官は菅義偉⽒、防
衛相は河野太郎⽒だった。

防衛省沖縄防衛局⻑名での申請書は、ちょうど後継の菅内閣が発⾜した昨年9⽉から閲覧が可能になり、軟弱地盤対策にとどまらない変更点が明らかになった。そこに含まれていたのが、埋め⽴て⽤⼟砂である「岩ズリ」( 岩⽯の破砕でできる細かい⽯)の調達先の候補として、沖縄本島の「南部地区( ⽷満市、⼋重瀬町)」を加えるという内容だった。

沖縄本島南部では、かつて激戦地となった⽷満市を中⼼に、約3 1 0 0 h a が⽇本唯⼀の戦跡国定公園に指定されている。戦没者を弔う「平和の礎」や「ひめゆりの塔」などがあり、今も遺⾻や不発弾が⾒つかる。公園内は⾃然公園法により開発を規制されているが、⼤半は県への届け出で済む「普通地域」にあたり、畑や住宅地が広がる⼀⽅で採⽯場も点在する。

それでもなぜわざわざ、沖縄県が反対する⽶軍基地造成に、戦没者の遺⾻が取り上げ切れていない本島南部の⼟を使おうとするのか。昨年秋以来、遺族や遺⾻収集ボランティアが批判の声を上げ、地元各メディアが報じてきた。国会でも政府の姿勢がただされてきた。そうした議論と防衛省などへの私の取材からは、菅内閣の三つの欺瞞が浮かび上がる。

昨年4月に政府が沖縄県に提出した辺野古沖埋め立ての設計変更承認申請の書類より、「埋立土砂等の変更」に関する説明の一部

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