琉球弧の島々を戦場にさせない―8月6日、非核・非戦の誓いを込めて

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昨日の集会の締めくくりに、具志堅さんは、地方議会の意見書で全国の声が示されたにもかかわらず、防衛省が南部からの土砂採取撤回を示唆すらしないのならば、「一番の当事者であるご遺族に声を上げてもらう」と語気を強められた。7月24日に南風原文化センターで開催された遺族公聴会のような場を、繰り返し持ちたいとのことだ。沖縄戦遺族は全国にいるので、沖縄県外でもこうした場を持てれば良いと思う。

最近の国の「安全保障」担当者の無責任発言は目に余る。昨日のやりとりでも、防衛省は現場の業者への責任転嫁に一辺倒だ。辺野古新基地建設は防衛省が計画を立て、土砂投入は既に強行されているにもかかわらず、土砂調達は業者任せ。計画全体を管理・監督する気もない。

7月19日、宮古島の海上保安庁巡視船が機関砲8発を陸地向けに誤射した問題については、「実弾は一つ間違えれば凶器になるという危機意識が欠如していた」との弁明をした。そもそも住宅や道路さらには弾薬庫・給油施設がある陸地に機関砲を向けたこと自体、住民を犠牲に曝す大問題だ。その上、「実弾は凶器だ」という基本的認識すら持っていない人たちに、安全保障を語り、武器を持つ資格はない。

ペロシ・米国下院議長の訪台や台湾軍の大規模軍事演習に端を発する米中対立の高まりで、嘉手納基地や自衛隊那覇基地での戦闘機の行動も激しさを増している。「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と憲法前文で掲げる日本政府が今すべきことは、余計な緊張を煽る米国に自制を促し、対話外交を呼び掛けることのはずだ。コロナ・自然災害・食糧やエネルギー自給率の低さといった、数多の内政上の懸案がある中、アメリカに追従した軍拡に走っている場合ではない。

真っ先にそんな国策の犠牲にされるのは、軍事施設が押しつけられた琉球弧の島々だ。昨日集会の合間に具志堅さんは、「沖縄の住民に逃げるのを強いないで」「出て行くのは軍隊の方だ」と語気を強めていらっしゃった。全国メディアは中国脅威論を煽り、アメリカや日本政府の問題は隠蔽する(例えば、海上保安庁機関砲誤射翌日である7月20日の「朝日新聞」の朝刊一面は羽生選手の会見だった)が、それに欺されず、「琉球弧の島々を戦場にさせない」との声を全国で上げたい。

日本中に軍事施設・原発があるのだから、全国どこが攻撃対象にされてもおかしくない。沖縄を他人事にしている余裕はない。非核・非戦を訴える市民運動が、文字通り急務である。

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