南西諸島は「無人島」か

この記事の執筆者

「ガザを無人島に」

1948年のイスラエル建国時に531のパレスチナ人の村々が地図から消され1万5千人以上が殺害され約80万人が難民となった「ナクバ」(大惨事)を想起させる「地獄絵」のようなガザの現状についてグテーレス国連事務総長は10月24日、恐るべきハマスの“凶行”を厳しく非難する一方で、「パレスチナの人びとは56年間、イスラエルによる息苦しい占領下に置かれてきた」と、問題の歴史的、文化的な背景を指摘した。

 言うまでもなく沖縄も27年間にわたり米軍の占領下で憲法なき無権利状態を強いられてきた。さらに、日本への「復帰」後も米軍は好き放題に占領期と同様の「軍事行動の自由」を享受し住民の生活を圧迫し続けている。ガザは種子島ほどの地域に220万人以上の人びとが閉じ込められた状態となってきたが、歴史的、政治的、軍事的な諸矛盾を狭い地域に押しつけるという意味で、構図として沖縄の問題と通底するものがある。

 このガザをめぐって10月26日付けの「ニューズ・ウイーク」誌は、イスラエルの指導部が「ガザを無人島にする」との脅しをかけている、と報じた。防衛省による「無人機戦争」の計画に孕まれた恐るべき意味合いとの、余りの合致に驚愕するばかりである。沖縄戦をも思い起こさせるガザの現状は、行き場のない狭い地域が戦場となることがいかなる悲劇的な事態をもたらすか、鮮明に示すものである。

 この「地獄絵」を眼前にしながら、日米両政府が「沖縄の戦場化」を前提に戦略戦術を組み立てるとするならば、その歴史的な責任が問われねばならない。

【本稿は10月25日付沖縄タイムス文化面掲載記事を加筆転載しました】

この記事の執筆者