あり得ない誹謗中傷
その夜、父母会LINEで皆の意見が飛び交う。
「あり得ない」「許せない」「何かしよう」
「抗議!嘆願書!」心配は怒りに変わり、すぐに行動を起こした。動かずにはいられなかった。緊急父母会を開き、嘆願書作りと署名活動をしようとなったが、母親たちはこうした「活動」に関しては全く経験が無いド素人ばかり。本当に手探り状態から始めるしかなかった。とにかく何も落ちてこない空の下で、子どもたちを安心安全に遊ばせたい、その思いだけだった。
副知事に嘆願書を渡すことに決まって動き始めた矢先、同じ宜野湾市内の普天間第二小学校に米軍ヘリの窓枠が落下する事故が発生。保育園で落下物が見つかってわずか6日後。何事もなかったように飛び続けた結果が、これだった。
うちの(緑ヶ丘)保育園と普天間第二小、どちらにも通わせている父母がいる。1週間に2度も、我が子の学びの場に空からものが落ちてくるなんて、世界中どこを探しても無いと思う。異常だ。「怒り」や「虚しさ」といった言葉では表現できない感情で涙しか出なかった。
絶対に保育園上空を飛行禁止にしたい、「最大限」という当てにならない口約束なんかじゃなく、子どもたちに安全な空を取り戻したい。そんな思いが膨らみ、とにかく訴えられる機関を探して駆けずり回った。市長、市議、防衛局、外務省、アメリカ領事館…。どこにでもいる普通の母親たちが、経験したこともない行動を起こし、毎日必死に走り回った。
そんな中、「あり得ない!」と思うような誹謗中傷を浴びる日々に直面した。メディアに出て被害を訴えるたび、「自作自演」「嘘をつくな」「そんな所に通わせている父母はおかしい」といった内容の嫌がらせの電話やメールが舞い込むようになった。電話の着信音が鳴り響くたび、先生たちは子機を持って屋外の園庭に出ておられた。園児たちの昼寝の妨げになるのを防ぐためだ。悔しい。何も悪いことはしていないのに。