名護市長選挙、それぞれの言葉【上】

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公明党県本部 金城勉代表「心配していない」

 

公明党沖縄県本部の金城勉代表は、渡具知候補のそばに寄り添うように、名護市内を回っていた。金城代表には幹事長時代から折に触れて話を聞いている。あまり話したくないであろう時も、金城さんはきちんと取材に応じる。

普天間基地についての公明党のスタンスは、県外、国外移転だ。とすると、辺野古移設に

反対している稲嶺候補の主張のほうに、より近いはずなのではないだろうか。

 

基地問題については、稲嶺さんの思いっていうのも理解はしていますか?

「共有しております」

きっぱりした口調だった。

共有している? しかし今回は、経済の方を優先させようという事ですか?

「経済ももちろん、医療も、福祉も教育も、そして街づくり、地域の活性化。そういう総合的な視点から考えた時に、今の市政をさらに4年間続けることは、やはり市民の為にはならないという判断をした訳です」

基地については、今の稲嶺さんと思いを共有しているという。でも逆に今の自民党推薦候補が当選したら、基地問題、逆の方に振れませんか?

「だからそういう意味で政策協定を作り、渡具知候補と公明党県本部の間で、この普天間飛行場の県外国外を求めると。海兵隊の県外国外を求めると、併せて日米地位協定の抜本的な改定を求めると。こういう政策合意を交わしたわけです。ですから新市長誕生の後には、そういう方向に向かって一緒に努力をしていくという事にしたいと思います」

Qつまり辺野古移設に反対という方向で一緒にやることになる?

「反対ということは明確にしておりませんけども、いま裁判が係争中でありますから、それを見守りたいという渡具知候補のスタンスも、我々もまた理解して、そういう方向で基地負担の軽減に繋げていくという考え方で進めていきたいと思っております」

 

どうもすっきりしない。本心でそう思っているのだろうか、と私は思った。それとも沖縄

県の公明党トップとしての立場で、ものを言っているのだろうか。今回、自民党が推す候補

を自主投票ではなく、推薦にしたのは、去年の衆議院選挙での選挙協力の見返りではないの

か、という見方もあった。つまり自民党が比例で公明に入れるよう支持者に働きかけ、その

結果、名護市では公明票が大きく伸びたことへのお返しではないか、というわけだ。

金城さんは正直な方なのだろう。これまでも個人としての葛藤が垣間見えたり、学会員の

苦悩に理解を示したりする場面があった。しかし今回はそうした思いを尋ねても、それに直

接答えることなく、行政全体のバランスを考えての決定だと繰り返した。

しかし家族とは異なる選択をすることを決めた具志堅さんのような例もある。

 

Q公明党さんが右向け右と言っても、この名護では色んな思いがあると。だから結果は自

由投票に近い形になるんじゃないかという見方もありますが?

「決定に至るまでのプロセスの中で、何回も党員、支持者の皆さん方とも意見交換をし、そ

して県本部の考え方を丁寧に説明し、ご理解をして、そうであるならば、県本部の決定を

支持しようと至っておりますから、そういう形にはならないと思います」

Qでももし、1人1人の思いの中で、やっぱり違うんだ。辺野古移設にはあくまで反対な

んだと訴えている候補に入れたいという公明党員あるいは創価学会員がいたとしたら、そ

こは止められないという事ですか?

「それはもうどういう組織であれ、パーフェクトということはあり得ませんから。それは一

部そういう思いの方もいらっしゃるかもしれません。しかし大方の皆さん方は、理解をして

いただいてますから、心配するほどではありません」

 

具志堅さんのような人は一部だという金城さんの言葉は、本人の言う通り、組織内で手続

きを踏んで納得を得られていることへの自信の現れなのだろう。その言葉の行間から、いつ

もの葛藤は読み取れなかった。

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