コラム 穀雨南風④~新たな世代

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とても大事なことが、静かに進行している。
先日、沖縄を訪ねてそんな思いを抱いた。
それは若い世代についてだ。

辺野古・新基地建設の賛否を問う県民投票を、若者が中心になって行おうとしていることは本土でも報じられている。県民投票を実現するために署名が必要で、その数は有権者の2%、つまり2万4千人分なのだそうだ。これを書いている時点で、その数を超えた署名が集ったという情報が入っている。

県民投票を実現するため奔走する若者3人に話を聞いた。
会の代表をつとめる元山仁士郎さんは26歳。普天間基地のある宜野湾市出身、この活動のために一橋大学の大学院を休学した。
「自分は沖縄で生まれ育って、沖縄にいたころには基地問題について考えてはいなかったんですけど、自分の住んでいた日常が異常だったと、東京に出て気づいたんです」
「どういう風に異常だと?」と私は尋ねた。
「東京では日常的にヘリコプターが学校の上を飛ぶことはないし、家の上を飛ぶこともない。米兵の姿も東京の中心部だったら見られないですし。何で違うのかなといったところで、気づくようになりましたね」

23歳の與儀(よぎ)幸太郎さんも、沖縄の外に出てその異常さに気づいたという。
「ぼくも沖縄のことにはすごい無関心だったんですけど、大学でハワイに行って、沖縄からの移民の3世、4世に会ってすごい影響を受けました。彼らの沖縄への愛を目の当たりにして、自分が沖縄について何も知らないことを思い知ったり。それで沖縄のことを勉強するようになると、やっぱり沖縄を大事にしたいという気持ちが生まれてきて、自然と基地反対、辺野古反対という思いになっていきました」
もうひとり、同じ23歳の普久原朝日さんも、外から沖縄を見たことが自分を変えたと話してくれた。

話を聞いた3人が3人とも、沖縄を出たことで逆に沖縄の姿が見えてきたというのだ。ずっと沖縄にいるとなかなか気づかないという面があるのだろうか。
與儀さんはハワイの大学に行く前は、基地に対して悪い感情はなかったと言う。
「ぼくは小学生の時からバスケットをやってたんですけど、アメリカのプロバスケットを見ていて、それで海兵隊とかも走ってたらかっこいいなとか、基地に対してもポジティブなイメージしかなくて」

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