沖縄の猫スポットといえば、“那覇の台所”の第一牧志公設市場周辺。夏の一日、迷路のように入り組んだ路地を練り歩き、「猫探索」にいそしんだ。
共生を育むゆりかご
沖縄戦の荒廃からいち早くにぎわいを取り戻し、「奇跡の1マイル」と称された那覇市の国際通り。この目抜き通りから枝道に折れ、平和通りのアーケード街に一歩足を踏み入れると、街の懐に飛び込んだような安堵感に包まれる。
第一牧志公設市場を中心に縦横無尽に広がる路地は、猫にとっても暮らしやすい、人と猫の共生を育むゆりかごの機能を担っている。
公設市場近くにある、和陶磁器・和雑貨を扱う「津覇商店」(那覇市松尾2-9-18)の店先で、青い瞳のシャム系雑種の看板猫「津覇にゃんにゃん丸」(1歳、♂)に出会った。
昨年8月、那覇市内のアパートの駐車場で鳴き続けていたところを、店主の津覇綾子さんの友人に生後2カ月で保護された。ときどき店周辺の屋外にも偵察に出歩くが、普段は津覇さんの店で「平社員」として“勤務”している。
じつはにゃんにゃん丸、沖縄ではチョー有名猫なのだ。
「猫の日」の今年2月22日、沖縄県立図書館が「一日館長」に任命。辞令を交付され、ネクタイの首輪を付けてもらった姿が地元紙の1面を飾った。にゃんにゃん丸の去勢手術を担った獣医師が図書館の職員と友人だったことから、とんとん拍子で一日館長就任が決まったという。
大役に抜擢されるだけあって、にゃんにゃん丸は「動じない猫」(津覇さん)。客がいようがいまいが、店内を自由に闊歩し、寝そべって通路をふさぐことも。風の通り道をよく知っていて、陳列棚の上もお気に入りのスポットだ。