県民投票の結果を国民的議論につなげる

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2019年2月24日「辺野古県民投票」の結果が明らかになった。投票率52.48%、賛成19.1%、反対72.2%。長く続いた論争はこれで終止符が打たれた。

反対の割合は「全有権者の37.6%に過ぎない」という意見があるが、憲法改正の手続きにおける国民投票の場合、投票総数の5割以上で国民の民意とみなすことが憲法及び国民投票法で規定されていることを鑑みれば、今回県民が直接民主主義によって示した民意は決定的である。
今回、県民投票運動をすすめた会の副代表という立場の視点から、そして、辺野古・普天間の問題を公正で民主的な解決を求める「新しい提案」実行委員会の責任者として県民投票の意義と今後の課題について簡潔に述べてみたい。

県民投票の意義

 

「辺野古」県民投票の会が設立されたのは、2018年4月だ。当時は、「すでに県知事選や、国政選挙で民意は示されている、県民投票など悠長なことを行っている場合ではない。早く埋め立て承認の撤回を翁長知事に表明させる方が先決だ」という意見が大勢を占めていた。しかし、選挙はどうしても複数の争点や党派性も含めた様々な要素の中から人を選ぶものであり、政治家を選ぶことと辺野古新基地に対する民意とは、違う結果が生じる。これをオストロゴルスキーのパラドックスというが、名護市長選挙や宜野湾市長選挙などがまさに選挙の結果と特定政策への支持がイコールではないことを示している。2016年9月16日福岡高裁那覇支部判決も、「沖縄の民意は沖縄県の特殊事情に基づくものとして十分考慮されるべきである」が、各選挙結果などからも沖縄の民意はいかなるものか明確ではないと判示していた。したがって、県民投票で、辺野古新基地の賛否について沖縄の民意をシングル・イシューで明確に示す必要があった。

また、結果に対する法的拘束力がないという声もあった。実際、政府は「県民投票の結果に関わらず基地建設を進める」旨の発言を繰り返していた。しかし、名護市辺野古に新基地を建設する国内法的根拠としては、小泉内閣、鳩山内閣による閣議決定(2006年5月30日及び2010年5月28日)があるのみである。

憲法41条は、「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」と定め、立法権を国会に独占させていることから、「国政の重要事項」については国会が法律で決めなければならない。次に、憲法92条は、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」と定めており、地方公共団体の自治権をどのように制限するかは法律で規定されなければならない。そして憲法95条は、「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」と規定する。

安倍首相は2015年4月8日参議院予算委員会で「辺野古問題は国政の重要事項にあたる」と述べ、上記福岡高裁那覇支部は、辺野古新基地建設が「自治権の制限」を伴うことを明確に認めている。そうすると、辺野古新基地建設は「国政の重要事項」であり、沖縄県の自治権を制限するものであるから、今回の県民投票は憲法95条の趣旨に沿うものとして、憲法上の拘束力があるといえるのだ。

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