「辺野古」の完成を悲観する米シンクタンク

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海兵隊の新戦略

実際、執筆者のカンシアン氏は代替案について前出の『沖縄タイムス』の取材に「私見」と断った上で、普天間飛行場の機能を米空軍嘉手納基地に統合する案を検討する可能性が高い、としている。同じ沖縄県内に移設させるこの案は、地元の反対も根強く、過去に何度も浮かんでは消えてきた「筋悪」の案だ。

一方、沖縄出身の國場幸之助衆院議員(自民)は、普天間飛行場の危険性除去が重要と訴える。

「単に辺野古をやめて普天間を放置するということでは、納得のいかない宜野湾市民も多いと思います。水深が深く、難工事が予想される大浦湾の埋め立てに時間がかかるのであれば、いま埋め立てが進んでいる浅瀬の側を利用して段階的に普天間の機能を辺野古に移していく選択肢もあるのではないかと思います」

沖縄にとっては、辺野古移設計画を中止させられればよし、で済む話ではない。市街地の真ん中にある普天間飛行場の運用停止、返還をどう実現させるかという難問の解決が不可欠なのだ。

沖縄県の玉城デニー知事は、普天間飛行場の閉鎖・返還を辺野古新基地建設と切り離す必要性を強調しているが、政府は具体的な言及を避け続けている。

留意しなければいけないのは、米側には辺野古新基地が完成しなくても普天間飛行場が使えればよい、との考えがあることだ。沖縄にとって悪夢は、辺野古での段階的使用が始まっても普天間は残る、というパターンだ。前出の野添さんは言う。

「海兵隊の新戦略では、中国をにらんで沖縄に駐留する第三海兵遠征軍が最も重要になることも変わりません。ただ、新たな戦略では固定した基地に依存しない分散された小規模の兵力で作戦するということを想定しています。この新戦略をいかにうまく使えるかがカギです」

【本稿はアエラドット記事を転載しました】

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