香港、台湾、そして沖縄…? 麻生太郎氏の「中国脅威論」

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「沖縄の防衛」が意味することは…

麻生氏は冒頭のスピーチで、沖縄は「地理的、地政学的にも最も重要なキーストーンといわれる位置に属している。沖縄の防衛は極めて大事」「戦後の話ばかりよく出るが、その面はその面。戦後70数年がたち、南シナ海、東シナ海、日本海を含め、極めてきな臭いものが臭ってきているのは明確だ」とも語る。

 「沖縄の防衛は極めて大事」が意味するのは、沖縄自体の防衛か、はたまた、日本防衛のための沖縄の重要性ということだろうか。第二次世界大戦の末期、本土防衛のために事実上の「時間稼ぎ」の場となって苛烈な戦火に覆われた沖縄からすれば、それは切実で痛切な問いである。

麻生氏が「戦後の話ばかり」というのは、おそらく「戦争の話ばかり」ということだろうが、沖縄にとっては「その面はその面」で済む過去の話ではなく、現在進行形の重大な問題に他ならない。

最近は岸信夫防衛相などを筆頭に、軍事色の強い対中強硬論がいささか緊張感を欠いたまま横行しているようにも見受けられる。戦後保守の始祖というべき吉田茂の孫でありながら、かつては弱小派閥の領袖として「冷や飯の食い方ならいくらでも教えてやる」と自嘲気味に語った麻生氏も、いまや御年80歳にして政権の大黒柱である。

麻生氏には日本の政界の長老、心柱として、もう少しオーソドックスな語りと歴史観を披露していただければと思うのだが、やっぱり「べらんめえ調」の、あえて悪ぶって見せる「キャラ」に、それは似合わないということだろうか…。いや、キャラで済ませる話ではなかろう。それを諌める動きも出てない現状に、保守政治の変質を映し出すような薄っぺらさが透けて見えるのだ。

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