私たちは、辺野古新基地建設を止め、普天間基地の代替施設の県外・国外移転を国民的議論で決めるという公正で民主的な解決を目指すため、2018年5月に発刊した著書「沖縄発 新しい提案 辺能古新基地を止める民主主義の実践」(ボーダーインク刊、以下「新しい提案」)に基づく市民運動を展開している。同年8月、メンバーの一人が東京・小金井市議会にこの提案に基づく陳情を行い、12月6日に以下の意見書が採択された。
1.辺野古新基地建設工事を直ちに中止し、米軍普天間基地を運用停止にすること。
2.全国民が責任をもって、米軍基地が必要か否か、普天間基地の代替施設が日本国内に必要か否か当事者意識をもった国民的議論を行うこと。
3.国民的議論において普天間基地の代替施設が国内に必要だという結論になるのなら、沖縄の歴史及び米軍基地の偏在に鑑み、沖縄県以外の全国のすべての自治体を等しく候補地とし、民主主義及び憲法の精神にのっとり、一地域への一方的な押付けとならないよう、公正で民主的な手続きにより解決すること。
当初、共産党会派の4議員も賛同し陳情は9月25日に可決されたが、それに伴う意見書の採択については、小金井市議共産党会派が賛意を撤回し、本会議で採決が見送られる異例の事態となっていた。この問題は大きく報道され、多くの議論をまき起こしたことによって、最終的には、各会派が文言の修正に合意をしたことで可決にこぎ着けた。
しかし、同様の理由で、本家本元であるはずの沖縄県議会の12月議会でその採択が危ぶまれている。この問題はまだ決着がついていなかったのだ。
故翁長雄志知事や玉城デニー知事も主張している「日米安保体制が重要なら、その負担も国民全体で担うべきだ」との訴えに対し、「私たちの主張は沖縄に要らないものはどこにも要らないというものだ。日米安保体制を重要だとは認識していない私たちは、その訴えの対象に含まれない」という応答は、民主主義に照らして正当な判断といえるのだろうか。なぜなら「沖縄に要らないものは本土にも要らない」が、政府の「本土の理解が得られない」という理由を補完し、「辺野古が唯一」を固定化させる差別構造を作ってしまっているからだ。
その答えを検討する前に若干の要点をおさえておきたい。