県民投票を気にする安倍政権
今月14日、政府は辺野古の新基地建設現場に土砂の投入を始めた。全国メディアでも「とうとう後戻りできなくなった」というトーンで大きく報道され、生中継をしたテレビ局もあったという。だが、さめた目で見てみれば、今回の土砂投入は、安倍政権による自作自演の「政治ショー」というところであろう。
政権側の意図ははっきりしている。もう埋め立てが開始されたのだから事態は不可逆的であり、決着はついた。これ以上もめても無駄だというわけである。メディアが大々的に報道することも計算ずくであろう。一時的には反発も強まるだろうが、既成事実化を進め、来年2月に予定されている県民投票の頃までには、あきらめの雰囲気も出て来るだろうというわけである。
だがそれは逆に言えば、安倍政権としてそれだけ県民投票の行方を気にしていることの現れである。玉城デニー知事が対話の継続を求め、安倍首相が「県民に寄り添う」と繰り返す中での埋め立て着工は、政権側のねらいとは逆に、移設反対派だけでなく中立的な立場の人々の反発を引き起こす可能性も高い。政権は県民感情を読み違えてはいないだろうか。