県民投票と基地経済の呪縛―「下河辺メモ」から変わらぬ現実―

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3択で県民投票実施へ

 

だが、元山氏のハンストで5市に対する市民の批判が強まった結果、124日に急転直下、県議会の全会派代表が、賛否2択に「どちらでもない」を加えた3択で、県民投票全県実施を目指すことに同意した。

ただし、29日には条例改正案が可決されたものの、自民党会派の出席議員から反対5人、退席2人が出る。うるま市は、可決直後に県民投票実施を表明。沖縄市と石垣市は、21日に県民投票予算を可決する見通しだ。だが、宜野湾市と宮古島市は、全会一致の改正案可決を県民投票実施の条件としていたため、いまだ状況は不透明である。

県民投票は予定通り224日に実施されるが、5市は事務が間に合わない場合、1週間程度の実施延期が認められる。折しも、県内では桜のつぼみがほころび始めている。沖縄の民主主義も冬を乗り越えられるだろうか。

 

※本稿は、2019130日付の沖縄タイムス紙に寄稿した、拙稿「新予算 県民投票を踏み台:政権への忠誠心求める―「下河辺メモ」から変わらない基地経済の呪縛」を加筆修正したものである。

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