沖縄県民投票の結果
2月24日、米海兵隊普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古沿岸の埋め立て工事の賛否を問う県民投票の投開票が行われた。県民の約53%が投票して、「反対」43万4273票、「賛成」11万4933票、「どちらでもない」5万2682票という結果。約72%を占める反対票は、2018年の沖縄知事選で玉城デニー氏が得た過去最多39万6632票を上回った。県内の全有権者の約38%が反対の意思表示をしたことになる。
一部の保守政治家たちがSNS上で、有権者の約38%が反対ということは残りの6割以上は賛成だと主張しているので、強調しておきたい。今回の県民投票の重要なポイントは、自公支持層の約半数が反対に票を投じたことだ。
朝日新聞が実施した出口調査によれば、自民支持層の45%、公明支持層の55%が反対を選んだと回答している。投票率が過半数を超えたことよりもむしろ、保守層も含めた反対の民意が示されたことが、4月に衆議院選挙補選、5月に参議院選挙を控える与党にとっては痛手であり、重要な成果だといえる。
ちなみに、日米地位協定見直しと米軍基地整理縮小の賛否が問われた、1996年9月8日の県民投票では、投票率約60%となり、全有権者の約53%が賛成に入れた。96年と比較して、今回の県民投票の投票率と「基地ノー」支持率が下がった理由として、政治学者の江上能義氏は2月25日付琉球新報で、公明党が賛成から静観に転じたことを挙げている。
卓見だが、加えて時期が悪かったことも指摘しておきたい。期日前投票が始まった2月14日から投開票日の24日にかけて、ビジネスマンは年度末の繁忙期の上に予算消化のための出張が入り、大学生は春休みで一日中バイトか就職活動の準備を始め、高校三年生と浪人生は大学入試の真っ只中だった。学問や報道も含めて政治に携わる人間はすべてを政治で説明しがちだが、大多数の人間は政治よりも日常生活に追われているのである。