辺野古移設後も普天間は返還されない?
今回の沖縄県民投票で是非が問われた、辺野古沿岸の埋め立て工事もまた矛盾に満ちた国策だ。
2月15日、県内4大学の学生22人と普天間飛行場の中を見学した。県民投票の判断材料にしたいという学生の発案だ。海兵隊の代表者が「普天間飛行場と比べて辺野古の代替施設は滑走路が短い」と言った。学生が「代替移設は基地機能が低下するのか」と聞くと「その通り」。学生はすかさず「代替施設が完成しても辺野古に移らないのか」と迫る。答えは「機能が維持されることが確認できれば移る」だった。
海兵隊の言葉は正しい。1996年4月15日に発表された普天間返還合意の文言は次の通りだ。『今後5~7年以内に十分な代替施設が完成した後、普天間飛行場を返還する。施設の移設を通じて、同飛行場の極めて重要な軍事上の機能及び能力は維持される。』
辺野古の軟弱地盤に杭7万6699本を打ち込む改良工事も含めた工事全体について、沖縄県は予算2兆5000億円、期間13年という独自の試算を出している。過去に例のない改良工事であり、そもそも実現可能かどうかも未知数だ。
仮に膨大な費用と時間をかけて代替施設が完成しても、米側から十分な機能・能力を有していないと判断されれば、普天間飛行場は返還されない。日本政府が唱え続ける「普天間の危険性除去・固定化回避」は、辺野古移設に固執している限り、不可能なのである。