沖縄が映す日本の全体主義化

この記事の執筆者

沖縄が特段の標的にされていることは明らか

まず、「一国二制度」を公認すると言うことは、同じ国の中に例外状況を作り出すと言うことだ。沖縄は既に立憲主義が否定され、「戦時」状態にあると以前書いたが、細田氏の発言は国が沖縄を「外地」扱いし、「内地」では通用しないことを公然と実行するつもりだと示唆すると解釈することが出来る。

沖縄戦中、日本軍は沖縄を「敵の進攻を破摧し皇土特に帝国本土を確保する」ための前線(「帝国陸海軍作戦計画大綱」(1945年1月20日))、つまり「本土」を守るための捨て石として扱ったが、現在の国の沖縄に対する態度にも同様の思想が流れている。

現在「重要土地等調査法案」が問題になっているが、これは基地・原発など「国家安全保障上重要な土地」の周囲の土地に、内閣総理大臣の命令・委任を受けた者が調査目的で強制的に立ち入り、土地収用や作業所として利用することを認める法案である。強権の発動は「必要な限度」に留めると書かれているが、その限度の明確な定義はなく、内閣の恣意でいくらでも拡大する余地がある。日本全体の米軍専用施設の7割が集中する沖縄が特段の標的にされていることは明らかで、市民運動の弾圧のため沖縄に事実上の戒厳令を敷くとんでもない法案だ。

「現地自活に徹すべし」「地方官民をして喜んで軍の作戦に寄与し進んで郷土を防衛する如く指導すべし」(「牛島司令官訓示」(1944年8月31日))との方針を採った第32軍(沖縄で展開した日本軍)は、地上戦が始まる一年前から沖縄に入り、学校・公民館・民家での分宿と、飛行場・防空壕建設への動員などを通し、軍民の距離を縮めていった。沖縄住民の生活の場に軍が入り込んできたことこそ、沖縄戦が軍官民一体となった地上戦となり、十万人以上の犠牲を出したことの主要因なのである。

「重要土地等調査法案」が成立すれば、沖縄戦前と同じ状況が作り出されるのではないか、と怯えざるを得ない。

この法案に対する危機意識も沖縄とヤマトとでは大きな差があるように見受けられるが、法案のどこにも「沖縄を対象地域にする」と言ったことは書かれていない。従って、ヤマトンチュだって等閑視しているわけにはいかない。

沖縄戦中、沖縄は皇土防衛のための「前線」であった。つまり、沖縄の「後」には、「本土」があったのである。実際、当時の鈴木貫太郎首相は1945年4月26日、次のような放送をした。

「沖縄全戦域に一致団結して全員特攻敢闘せらるる将兵各位並に官民諸君、私達一億国民は諸士の勇戦奮闘に対し無限の感謝を捧げてゐる。日々相次いで報ぜられる赫々たる戦果こそは国民が均しく身を以て感ずる大なる喜びである。(中略) 私共本土にある国民亦時来らば一人残らず特攻隊員となり敵に体当りをなし如何なる事態に立ち到らうとも絶対にひるむことなく最後迄闘ひ抜いて終局の勝利を得んことを固く決意してをる。」

沖縄に例外的な犠牲を強い、その事実をパターナリズム向きだしの美辞麗句で粉飾し、沖縄同様の犠牲を「本土」の国民にも強いるべく準備を進める。現在の自民党政権と重なって見えるのは、私だけだろうか。「沖縄で起こったことは、やがて日本全体で起こる」という、沖縄戦の教訓を今すぐ想起したい。

この記事の執筆者