「想定外」だった辺野古軟弱地盤

この記事の執筆者

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の代替施設の建設予定地が、「想定外」の軟弱地盤であることが判明した。設計変更は必須との指摘もあり、工事の進捗にも影響しそうだ。

「正直驚きました」

そう打ち明けるのは、沖縄県名護市辺野古沿岸部での新基地建設工事に反対する市民団体メンバーで、元土木技術者でもある北上田毅氏だ。

「埋め立て予定海域の海底は琉球石灰岩が分布する軟弱地盤である、との指摘はこれまで私たちもしてきましたが、まさかこれほどひどい数値だとは予想していませんでした」

辺野古新基地は、キャンプ・シュワブ先端部の陸域をかすめる形で沿岸域約160㌶を埋め立てる計画だ。この埋め立て予定海域の地質調査は、防衛省沖縄防衛局が2014年~16年にかけて、計24か所のボーリング調査や磁気・音波探査などを実施。北上田氏らが情報公開請求し、3月に入手した、この地質調査の報告書によると、北側の大浦湾側で多数の軟弱地盤が測定されていた。

特に深刻なのは、埋め立て海域で最も深い「C1」と呼ばれるケーソン護岸建設予定地付近にある「B28」と「B26」の2つの調査ポイントだ。この海域は谷間地形で、地下約40㍍にわたって軟らかい砂や粘土が堆積。この地層部分で地盤の強度を示す「N値」がゼロだったのが、B2823地点、B268地点に上った。

N値は、重さ63.5㌔のハンマーを75㌢落下させ、サンプラー(試験杭)を30㌢地中に打ち込むのに必要な落下回数だ。N値が大きいほどその地盤は強固とされ、一般的には大型構造物の基礎としてはN値50以上が望ましいとされる。これが「ゼロ」というのは、どういう状態なのか。北上田氏は言う。

「ハンマーを落下させる前に、サンプラーをセットした段階でズブズブと地中に沈んでしまって測定できない状態。マヨネーズのような超軟弱地盤です」

この記事の執筆者