「無効化」に抗った民意
県民投票が終わったあと、その結果を無効化しようとするかのような動きが続いている。
日本維新の会の下地幹郎衆議院議員は結果が出たあと、こうツイッターに書き込んだ。
<「反対」43万4273票、「賛成」11万4933票、「どちらでもない」5万2682票、これに投票に行かなかった55万余の県民を加えれば、「反対」は43万人超、「反対以外」が計 71 万人との結果になりました>
下地氏は「反対以外」というくくりを持ち出して、そちらのほうが多かったことを印象づけたたうえで、こう続ける。
「私が申しあげてきた『投票率64%、反対票39万票以上』という基準は超えられず、勝利者の軍配をどちらに上げることもできない状況が生まれてしまう事となりました」
県民投票では民意ははっきりしなかったというのだ。さらに県民投票の結果にかかわらず工事を進めるという政府の動きを追認するようなコメントで締める。
「最終決着をつけるのは、やはり政治の力だと、改めて感じております」
さらに公明党の山口那津男代表も、反対が多数を占めたことについて、記者会見でこう語った。
「絶対得票率という点では、反対の票は38%程度にとどまった。その他の思いというものがかなりあるという結果でありました」
こちらも反対以外のほうが多いではないか、という論調だ。
新聞でも、たとえば産経新聞は一面で反対が7割を超えたことを報じる一方で、社会面ではこんな見出しを立てた。
<有権者6割「反対」せず 沖縄県民投票、47%棄権>
もし投票率が50%を切っていたら、県民投票の意義を問う声はさらに大きくなっていただろう。今回の投票率は52.48%と50%を超えている。それでも「反対以外のほうが多い」という声が次々と出るのだ。もし50%を切っていたら「半分以上が投票に行かなかったのだから、その結果は県民の意思とは言えない」という論調であふれていただろう。
今回の県民投票の勝者は、県民だ。投票率は40%を超えるくらいではという声も一時はあったことを考えると、沖縄県民は絶妙なバランスで投票結果を無効化されることに抗ったと言えるだろう。