県民投票結果を薄める効果
辺野古新基地建設をめぐる政府言説の特徴は、隠蔽(はぐらかし)と誤導(印象操作)だ。
「1日も早い危険性の除去」に「最低13年かかる」ことは、あまりにも矛盾する<不都合な真実>だ。しかも工事の遅れは「沖縄県(民)の妨害」のためと責任転嫁をすることしきりでもある。さらに「唯一の選択肢」とした検討経緯も、「工期や事業予算」も明らかにしないまま、国家安全保障上の理由で議論をシャットアウトする。
この延長線上の県民投票であるから、全県投票を阻止しようとしたり、投票運動を行わず投票率を下げることに精を出したりで、いわば「なかったこと」にしたい政治勢力に対し、投票をどう位置付けるのかが、報道機関の立ち位置として重要なポイントであった。それからすると多くの新聞では翌(2月)25日朝夕刊および翌々日以降の紙面で、それなりの大きな扱いをし、県民の意思表示としての意味を伝えている。
その中で、在京紙では読売新聞の扱いの小ささが目立つ格好だ。
1面で扱いこそすれ、見出しの大きさでいえば4番手扱いだったからだ。しかも翌朝に社説を掲載しなかったのも、在京紙では唯一であった。さらにいえば、同日の紙面で別の全国世論調査結果を示し、「沖縄米基地『役立つ』59%」を見出しにとったのは、相対的に県民投票結果を薄める効果を狙ったと受け取られかねない扱いといえよう。