なぜ米軍基地の国外移転は進まないのか

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基地縮小が要請しづらい状況に

 

以上のことからわかるように、1970年代以降は日本側が米軍の撤退を求めるというよりも、むしろ日本側が米軍を引き留めるという事態が起こりはじめているのである。少し言葉をかえて言えば、アメリカに守ってもらうためには基地を提供しなければならないが、その提供すべき基地が大幅に減少した結果、これ以上の基地の縮小はなかなか要請しづらい、という状況が生み出されたのである。

 したがって、例えば、普天間基地の国外移転を日本側から言い出せない理由として、元防衛大臣の石破茂は、率直に次のように述べている。

すなわち、憲法9条による制約のため、日本は軍隊(人)を提供できず、代わりに基地(物)を提供することで守ってもらっている。そのためアメリカに「この基地がなければ(日本は)守れないよ」と言われれば、日本はこれ以上「無理強い」することはできない。つまり、守ってもらっている立場の日本側から「基地がじゃまになってきたからどけてくれ」というのは「なかなか言いにくい」、というのである(森本敏・石破茂・西修『国防軍とは何か』。

 いや「なかなか言いにくい」というよりも、現在は日本を取り巻く安全保障環境がより悪化し、ますますアメリカへの防衛依存が強まっている状況のなか、むしろ「言い出すつもりもない」というのが、実際のところではないだろうか。

 では、こうした現状を打破して沖縄の過重負担を解消していくための方途は、どこに見出し得るだろうか。これについては機会を改めて論じてみたい。

  *本稿の内容についてより詳しくは、拙稿「米軍基地問題は日本全体の問題だ 同情や批判にとどまらない挑戦を」『Journalism20159月号を参照していただきたい。

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