「教義に背く」沖縄創価学会員が反旗

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9月30日投開票の沖縄県知事選で鍵を握るのが、公明党支持者の投票行動だ。支持母体の沖縄創価学会員の胸中に迫った。

 

名護市長選で激励文

 

知事選に向け、公明党沖縄県本部は8月20日、自民党沖縄県連が擁立を決めた前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)と政策協定を結んだ。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題には触れず、「海兵隊の県外国外分散移転による基地負担軽減の推進」など5項目を盛り込んでいる。

これに、猛然と抗議する沖縄創価学会員がいる。

「『辺野古』に言及せず、海兵隊の県外・国外移転を掲げるのは、まやかしです」

こう直言するのは、今回初めて実名取材に応じた那覇市の仲宗根政良さん(76)だ。1982年3月の入信以来、学会内で選挙運動に熱心にかかわってきたという。

筆者が初めて沖縄で仲宗根さんと面談したのは2011年の民主党政権時だ。仲宗根さんは、普天間飛行場の県外移設方針を断念し、辺野古新基地建設に舵を切る民主党政権だけでなく、沖縄の民意を無視する日本の政治やメディア、世論のありように怒りを募らせていた。

「12年12月の衆院選で公明党と創価学会は本性を現しました」と仲宗根さんは振り返る。

自公が圧勝し、第2次安倍政権誕生に導いた同選挙。公明党は、憲法改正による国防軍創設や集団的自衛権の行使を公約に掲げた自民党とタッグを組んで政権に返り咲いた。沖縄ではその後、自民党国会議員が「辺野古移設容認」へと公約を翻し、自公が推す仲井真弘多知事が辺野古埋め立てを承認した。

与党として自民党と協調する公明党のスタンスに疑問を感じた仲宗根さんは、今年2月の名護市長選で辺野古新基地建設阻止を掲げる「オール沖縄」が推す稲嶺進候補に激励文を送り、妻とともに街頭で支援活動に加わった。半ば公然と学会に反旗を翻してきたが、除名などの処分は受けていないという。

「私は組織から白眼視されていますが、今も学会員です。沖縄に寄り添い、平和を守る教義に反しているのは本部のほうです」

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