普天間・辺野古問題の「焦点」はどこにあるのか(下)

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仲井真元知事の「真意」とは

 

仲井真氏は、知事退任後に次のように胸中を明かしている。

「みんな間違って考えていると僕は思っていましたよ。本当は(辺野古よりも)もっとやりやすい場所があるはず。腰を据えて取り組めば、すぐに解決できる。米国の政治家も本気になってくれれば、簡単な話だとね」(『沖縄を売った男』205頁)。

知事在任中の仲井真氏は、普天間代替施設について「県外」を求めつつも、「県内」も否定しないという歯切れの悪い姿勢をとったが、本人によればその真意は、最優先すべきは普天間の危険性の早期除去であって、それが実現できるのなら、「県内」もありというものであった(同上、186頁)。

仲井真氏の在任時ですら、辺野古での新基地建設には10年程度かかると見られていたわけだが、建設予定地にきわめて軟弱な地盤が広がっていることが判明し、新基地計画は10数年から場合によっては、20年近くかかる可能性も指摘されている。

それが意味するのは、「辺野古移設」ではもはや、「普天間の危険性の速やかな除去」は無理だということである。

そのような中、普天間基地の「5年以内の運用停止」の期限が迫りつつある。安倍政権は「5年以内」について、2014年2月を起点とした。ところが同政権はここに来て、「5年以内」を反故にする姿勢を鮮明にしつつある。安倍政権としては普天間の「早期の危険性除去」をあきらめ、今後、10数年にわたって危険性を放置するということであろうか。

また、米軍としては滑走路が短いなど辺野古新基地の機能が不十分だと見なしており、辺野古が完成しても普天間基地の返還にすんなりと結びつくかも、不透明だというのが実情であろう。

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