4人に1人が投票できない!?「辺野古」県民投票

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市民の力で実現した県民投票

 

玉城デニー沖縄県知事は2018年11月27日、米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)の移設に伴う名護市辺野古沿岸の埋め立て工事の賛否を問う県民投票を、来年2019年2月24日に行うと発表した。

26歳の若者が代表を務める「『辺野古』県民投票の会」が、県民投票を実施する条例の制定を求め、請求に必要な法定署名数の4倍に当たる9万2848筆(有効署名数)を集めて、沖縄県に提出したのが2018年9月5日。

翁長雄志知事が8月8日に急逝したのを受け、沖縄県知事選挙が実施され、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対するデニー氏が、移設を進める安倍晋三政権が推す候補に8万票差で当選したのが9月30日。

県議会にて与党の賛成多数で県民投票条例が可決され、「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例」が公布・制定されたのが10月31日。

今回、県民投票を実現させたのは、まぎれもなく市民の力だった。

権力につぶされる民主主義

 

「辺野古」県民投票の会が署名活動を始めた当初、辺野古の工事に反対して座り込む人々や市民団体、政党、県内の識者の大多数は、県民投票の意義を疑問視していた。だが、地位や権力、金とは無縁な若者たちが、懸命に署名を集める姿は、しだいに多くの県民の心を動かしていく。団体や政党の協力の輪も広がり、7月末までの2ヵ月間に、メディアの事前の予想をはるかに超える、有効・無効合わせて10万筆以上の署名が集まった。

県民投票の署名活動に尽力した若者たちは、突然の知事選でも、デニー氏の選挙活動を支えた。彼/彼女らの活動がデニー氏の大勝を支えたのは間違いない。その姿に、多くの大人が民主主義や市民運動の新たな可能性を見いだした。

だが、若者たちが普天間移設問題にもたらしたこうした「光」は、まもなく色あせていく。安倍政権が11月1日、選挙期間の約2ヵ月中止していた埋め立て工事を再開したからである。これは翁長前知事が7月27日に表明した辺野古埋め立て承認の撤回について、効力停止を決定したのと同時に行われている。

謝花喜一郎副知事は、「翁長知事が本当に命がけでやったものを、このようにいとも簡単に数ページで決定がなされることに、沖縄県民は本当に怒っております」と、東京の野党合同ヒアリングの場で訴えた。

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