「使えない辺野古」がなぜ「唯一の解決策」なのか

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辺野古以外も検討していた公明党WT

 

公明党関係者は筆者の取材に当時、こう話した。

 「事件後、政府と米軍は再発防止を強調しましたが、党として沖縄県民の感情に寄り添ってもう少し踏み込んだ対策ができないかと、ゼロベースで沖縄の米軍基地の在り方を議論することにしたのです」

 「ゼロベース」議論の中には、普天間の移設先として「辺野古」以外の選択肢を検討することも排除されていなかったという。WTは公明党の国会議員と沖縄県内の地方議員で構成。沖縄、東京で会合を重ね、基地視察のほか有識者や外務・防衛官僚のヒアリングも行った。

 公明党内部の状況については少し説明が必要だろう。党の沖縄県本部は辺野古新基地建設に「反対」し、県外・国外移設を求める立場だが、東京の党本部は自民党とともに「推進」のスタンスで、地元と中央の間で「ねじれ」が生じている。

 当時、地元の党関係者はこう明かした。

 「現行の辺野古案以外の有力案として検討されていたのは、軍事アナリストの小川和久氏の案です」

 静岡県立大学特任教授の小川氏に取材を申し込むと、こんな答えが返ってきた。

「私は1996年の普天間返還合意以来の当事者です。日本側の当事者能力の不在に失望しています。私が提案した以上の構想が出ていないからです」

 「当事者」を自認する小川氏の強い思いにひかれ、筆者は174月に取材に臨んだ。このとき小川氏は、開口一番にこう言った。

 「米軍は冷ややかに見ていますよ。軍事的合理性から見れば、まったく使えない施設ですから」

  筆者はその後、同じ言葉を米軍関係者や日米の安全保障の専門家から聞くことになる。

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