「環境問題」の観点から沖縄に向き合う―環境省との初交渉を受けて

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環境省の積極的な関与を

環境省の言い分をまとめれば、「沖縄県として戦跡における開発を規制したければ、開発を認可しなければ良い」というものだったが、沖縄県が県内業者からの開発の届け出を不認可にすることは難しい。

実際、沖縄県が2021年5月、沖縄戦跡国定公園内の熊野鉱山(遺骨土砂問題でとりわけ問題となった鉱山)の開発を届け出た沖縄土石工業に措置命令を下した際は、同社が2021年8月に公害等調整委員会に不服を申し立て、県は2022年6月、公調委が示した「遺骨発見時には工事を一定期間中止し遺骨収集を行うこと」等の合意案を受け入れた。その後、2022年12月に同社が再び熊野鉱山の開発を届け出ると、県はそれを受理した

県内業者の私権を制限することについて、沖縄県が慎重にならざるを得ないだろうし、特に戦跡内での開発が辺野古新基地建設のような国が作り出した需要に応えるために行われる場合、開発を規制する責務が県だけに押しつけられるのは卑怯に思える。基地建設等軍事・防衛の領域では全く沖縄県の自治・自己決定を認めないくせに、国が責任を負いたくない時だけ「沖縄の自治」を持ち出すのは一貫性を欠く。

沖縄戦跡国定公園内には、沖縄県出身者のみならず、県外から動員された日本兵の他、朝鮮半島出身者や米兵のご遺骨も眠っている。「開発から戦跡を守りたい」「遺骨が眠る土地を傷つけないで欲しい」と思うステイクホルダー(とりわけ戦没者遺族)は沖縄県外・日本国外にもいるはずだ。戦跡の景観やご遺骨の尊厳を保護する必要と開発申請業者の私権とが衝突する場合、沖縄県のみならず国(特に環境省)もその理解調整に一定の責任を持って欲しいと思う。国が作り出した需要に応えるために戦跡が開発に曝され、それに対して沖縄県外・日本国外の遺族等が抗議する場合、沖縄県だけがその抗議の標的にされて良いものだろうか。

なお自然公園法第四条には「この法律の適用に当たつては、自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)第三条で定めるところによるほか、関係者の所有権、鉱業権その他の財産権を尊重するとともに、国土の開発その他の公益との調整に留意しなければならない」と書かれている。今回の意見交換会で環境省はこの「公益」に戦跡の景観や戦没者の尊厳を守ることが含まれるか明言しなかったが、せっかく国として戦跡国定公園を指定するのであれば、「国土の開発」のみならず戦跡を保護することも留意した法運用をすべきではないだろうか。

2年前、「遺骨土砂問題」の意見書運動をした際は、左右を問わず、「戦没者の遺骨の尊厳を毀損してはならない」との声を全国に広げることが出来た。同じ要領で、「沖縄戦跡の景観保護のために環境省の積極的な関与を求める」意見書運動などが出来ないか考えている。具志堅さんはふるさと納税を財源に沖縄戦跡を県有地化する運動をすることも検討されているので、その運動を全国に広げることも勿論大切だと思うが、沖縄県だけに戦跡保護の責務を負わせる運動にはしたくない。特に遺骨土砂問題の運動を行った自治体を中心に、もう一度「国としてご遺骨の尊厳や戦跡の景観を保護すべきだ」との声を上げていきたい。

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