執筆者 松原 耕二 「報道1930」キャスター編集長 1960年山口県生まれ 早稲田大学政経学部卒、1984年TBS入社、NY支局長などを経てフリーに。現在BS-TBS「報道1930」キャスター編集長。ドキュメンタリー『フェンス~分断された島・沖縄』で放送文化基金優秀賞。著書に『反骨~翁長家三代と沖縄のいま』のほか小説なども執筆。第29回橋田賞受賞。 松原 耕二の記事一覧 基地 政治 社会 「穀雨南風」⑯ ~ 防衛大転換と民主主義、そして哲学 「出来レースじゃないですか」 私たちはなぜ議論によって互いの理解を深め、よりよい結論を導き出すことが得意ではないのだろうか。もしそうなら民主主義というものが、いまだ私たちの社会に根付いていないということなのだろうか。 去 […] 松原 耕二 2023.01.29 ライフスタイル 基地 政治 穀雨南風⑮~復帰50年・フェンスが突きつける現実 先日、毎日新聞などが主催する「沖縄復帰50年を問い直す」 というシンポジウム(毎日新聞社など主催)で、 基調講演をさせていただきました。 きょうは、そのときの講演録を少しだけ手直ししたものを掲載します。 「本土」という言 […] 松原 耕二 2022.05.13 ライフスタイル 政治 文化 穀雨南風⑭~保阪正康さんの夏 向き合うと、背筋が伸びる思いがする人がいる。私にとってノンフィクション作家の保阪正康さんはそんな存在だ。 この夏、その保阪さんに、私が担当する番組『報道1930』に終戦企画で出演していただいた。ゲストは保阪さんのほか、今 […] 松原 耕二 2021.08.23 政治 文化 社会 穀雨南風⑬~リベラルの罠 ネット上にはもうひとつの沖縄がある。 何かというと、攻撃的な言動やフェイクにさらされるのだ。 沖縄で反対運動をしている人の多くは沖縄の住民ではない、日当をもらって仕事として参加している本土の活動家だ。その裏には中国がいて […] 松原 耕二 2020.01.06 ライフスタイル 文化 社会 穀雨南風⑫~筑紫哲也が最期に沖縄について語ったこと 今年も筑紫哲也さんの命日に、お宅にうかがった。先月のことだ。いつものように線香をあげたあと、妻の房子さんからこんな話を聞いた。 晩年、筑紫さんは「沖縄にもう一度、住みたい」と話していたという。 筑紫さんは朝日新聞の特派員 […] 松原 耕二 2019.12.24 政治 文化 社会 穀雨南風⑪ ~ カメジローが突きつけるもの 「米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」の上映が始まる。話題を呼んだ前作から2年、その新作がいよいよ公開されるのだ。きょうはこの作品について書いてみたい。 映画を観てまず感じたのは、その静けさだった。 占領下のアメリ […] 松原 耕二 2019.08.23 政治 文化 社会 コラム 穀雨南風⑩~世代と記憶 日韓関係がこじれている。 政治の関係が悪くても、経済的な関係や、民間レベルの交流にはさほど影響を与えない。それどころか、互いの国を訪れる観光客は、かつてないほど増えている。これまではそんな安心感を持てていたはずなのに […] 松原 耕二 2019.08.05 政治 文化 社会 コラム 穀雨南風⑨~“一国二制度”に置かれ続ける沖縄 玉城デニー知事は「一国二制度」という言葉を口にする。沖縄の将来像として、自治州のような一国二制度が望ましいという提案だ。 今年3月、『AERA』の渡辺豪記者のインタビューでもこう語っている。 「多くの県民が望むのは、政府 […] 松原 耕二 2019.05.21 基地 政治 文化 コラム 穀雨南風⑧ ~ 心のバトン 県民投票が終わったあと、その結果を無効化しようとするかのような動きが続いている。 日本維新の会の下地幹郎衆議院議員は結果が出たあと、こうツイッターに書き込んだ。 <「反対」43万4273票、「賛成」11万4933票、「どちらでもない」5万2682票、これに投票に行かなかった55万余の県民を加えれば、「反対」は43万人超、「反対以外」が計 71 万人との結果になりました> 松原 耕二 2019.03.03 基地 政治 社会 コラム 穀雨南風⑦ ~ 沖縄の若者が抱いた疑念 沖縄の県民投票が告示された。 あとは静かに沖縄の人々の判断を待ちたいけれど、そのプロセスを見ながら感じたことを書いておきたい。 権利を守るために身体を張って訴える 「『辺野古』県民 […] 松原 耕二 2019.02.18 政治 文化 社会 コラム 穀雨南風⑥~「心を寄せる」と「寄り添う」の距離 天皇陛下がひとりの人間としての感情を、公の場でこれほど表に出したことがあっただろうか。およそ16分間の間に、天皇陛下は4度、大きく声を震わせた。[…] 松原 耕二 2018.12.25 ライフスタイル 基地 政治 コラム 穀雨南風⑤~全身政治家 翁長雄志 翁長知事と最後に言葉を交わしたのは、慰霊の日の2日前だった。 当初、そんなつもりはなかった。すい臓ガンの手術を受けたのだ、それどころではないだろう。一年前には慰霊の日のやはり2日前にインタビューしたものの、今年は取材の申 […] 松原 耕二 2018.09.04 政治 文化 社会 コラム 穀雨南風④~新たな世代 とても大事なことが、静かに進行している。 先日、沖縄を訪ねてそんな思いを抱いた。 それは若い世代についてだ。 辺野古・新基地建設の賛否を問う県民投票を、若者が中心になって行おうとしていることは本土でも報じられている。県民 […] 松原 耕二 2018.07.18 ライフスタイル 政治 社会 コラム 穀雨南風③~広場の政治 時に、本土と沖縄の違いを強く意識することがある。 政治学者の原武史さんと皇居前広場を歩きながら、そのことに思いを馳せた。 原さんによると、皇居前広場は世界一、大きいのだという。イギリスのトラファルガー広場より、ロシアの赤 […] 松原 耕二 2018.06.01 基地 政治 文化 コラム 穀雨南風 ②~深夜特急 『ミッドナイト・エクスプレス』という映画をご存じだろうか。 たぶん私が観たのは、大学生の頃だったと思う。いやあ、驚いたというか、ものすごく怖かったのを覚えている。主人公であるアメリカ人男子大学生、ビリーが、トルコのイスタ […] 松原 耕二 2018.04.09 ライフスタイル 文化 社会 コラム 穀雨南風 ①~「パンとサーカス」 「考えたくない」 ある大学で沖縄の基地問題についてのドキュメンタリーを見せて、学生たちと論じたことがある。 「沖縄ばかりに基地を押しつけてはいけない」 「でも日本の安全保障のためには必要なのではないか」 彼 […] 松原 耕二 2018.03.15 基地 政治 社会 名護市長選挙、それぞれの言葉【下】 小泉進次郎議員の演説が始まる前から、制服を着た高校生が大勢集まっていた。場所は名護高校前の交差点、集まっていたのはもちろん名護高校の学生たちだ。[…] 松原 耕二 2018.02.10 基地 政治 社会 名護市長選挙、それぞれの言葉【上】 「はいさいー、どうもです。名護市出身、具志堅っていいます」 投票日まで4日となった水曜の夜。現職の稲嶺進候補を応援する若者たちが集まる集会で、具志堅秀明さんが軽やかに話し始めた。[……] 松原 耕二 2018.02.09 ライフスタイル 文化 環境 【インタビュー】宮本亜門さんと沖縄【下】 宮本亜門さんは39歳で沖縄への移住を決意し、沖縄本島南部の南城市内に家を建てた。東京や世界各地を忙しく飛び回る仕事の合間に、沖縄に「戻る」生活は1996年から2016年までの20年間に及んだ。亜門さんは今後、沖縄とどうつ […] 松原 耕二 2018.01.02 ライフスタイル 文化 環境 【インタビュー】宮本亜門さんと沖縄【上】 世界を舞台に活躍する演出家、宮本亜門さん。その亜門さんが沖縄を舞台に映画を撮り、自宅を建てて東京と行ったり来たりの生活をするなど、沖縄と深く関わっていることはよく知られている。ところが沖縄の家を売りに出すことに決めた亜門 […] 松原 耕二 2018.01.01 基地 政治 社会 亡くなった大田元知事に、翁長知事は何を語りかけたのか 沖縄県知事は県民のお父さん 全国47都道府県の首長は、言うまでもなく知事だ。しかしその中でも、沖縄の知事はどこか違う意味合いを含んでいると、取材で訪れるたび感じていた。政治家という枠を超えた濃密な感情を、多くの県民が抱い […] 松原 耕二 2017.11.02